一眠りしてたら、あっという間に九日たってしまいました(大笑)。
伯耆大山、記憶がまだ辛うじて鮮明なうちに書き続けます。
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その「不気味な予感」は、6合目を過ぎていよいよ山頂に近づいたころに的中し、「暴風雨」は、これまでの「下山者のメッセージ」や、それを元に構築したアタマの中のイメージではなく、正真正銘の現実となった。
特に9合目を過ぎて、高山植物保護のために設置された木道(もくどう)が現れてからが、雨風共にすさまじくなった。高山(といっても、せいぜい1700mくらいで、他の地域の登山者からは笑われそうですが・・・)特有の潅木に埋もれて進んでいくうちは、それほどの風当たりではないけど、木道の上にのってしまうや、ものすごい雨風(あめかぜ)にさらされ、それこそ木道に付設された手摺ロープにつかまってないと、この「メタボちょい手前」の私でさえ吹き飛ばされそうになる。いや、比喩的な意味でなく実際に。
「大山頂上 0.5km」の看板のあるところまでさしかかったところで、やむなく引き返すという苦渋の決断を下す。私は、一人暮らしの気楽な身の上、子供たちも自立しているから、まあ、どうなってもいい。でも、カメラマン(兼ドライバー)クンには、つれあいも、まだ独立していない子供もあるのだ。
それでも、カメラマンくん、その暴風雨の中でカメラを取り出して、私の勇姿(?)を写そうとする。たいしたプロ根性。「危ないからやめろ!吹き飛ばされるぞ!カメラが濡れてダメになるぞぉ!」という、被写体である私からの呼びかけも、声は風雨に消されて全く聞こえないものの、ジェスチャーでわかってるはずなのに、それでも2枚、3枚・・・と、一向にやめてくれない。やむなく、こちらもつられて、ポーズをとる・・・といっても、ひたすら手すりロープにつかまるばかりで、全く様にならない。
潔く引き返し始めた直後、いかにも無敵といったオーラをかもし出して山頂に向かう青年2人とすれ違う。「こんにちは、がんばってね、気をつけてね!」このにぃちゃんらは、この悪天候の中でも、いとも簡単に山頂に立ってしまうんだろうな…と、若干の(いや、かなりの)ジェラシーを覚えてしまう。
濃霧で視界の利かぬ急斜面の、しかも小石がごろごろして歩きにくい下山路を、ゆっくりゆっくりと降りる。すると、背後から人の気配が。
さっきの二人組である。「えっ、もう山頂まで行ってきたんですかぁ?」「いや、あの看板のところで諦めて引き返しました。」「あ、それが賢明な判断ですよね」内心では、この若者たちでさえ断念したことに、深い安堵と若干の勝利感(?)を味わいながら…しかも、彼らも我らと全く同じ場所で断念したのだ!
少し下ってから、さらにさきほどの6合目を過ぎてからは、ウソのように風もピタリとやみ、薄日さえさしてきて、相棒と「これからまた登るかい?」などど軽口を交わしたりしつつ、ドライバー君の愛車が待つ南光河原駐車場に戻った・
(続く)